漢方薬のか・た・ち
富山の薬屋、池田屋安兵衛商店です。
今回は漢方薬のかたちについて少しお話いたします。
漢方薬は本来、生薬(薬草など)を混ぜたものをお湯で煮出して飲むのが一般的です。
煎じて飲むということですが…。
煎じて服用するものは「湯液」(とうえき)といいます。
皆様おなじみの【葛根湯】のように、漢方薬では名前の最後に「湯」ってつくのが多いと思いませんか?
これは煎じた漢方薬ということで、「湯」ってつく漢方薬はできれば煎じたものをあたたかいうちに飲んでほしいと思います。ちなみに「~飲」というものもあります。
漢方薬の煎じ方はこちらのコラムを参考にしてください。
「散剤」(さんざい)とよばれるものがあります。
これは本来生薬を細かく刻んで粉末状にしたものをそのまま飲むものです。
要は、粉薬です。芳香性の成分、揮発性の高い成分、水溶性でない成分を含む生薬が含まれる場合に適した剤型です。冷え性や婦人薬として知られる【当帰芍薬散】という薬のように「散」がつくのもがそれにあたります。
「原末」と言われたりもします。
まぁるいかたちのものもあります。「丸薬(丸剤)」といいます。
砕いた粉末状の生薬をハチミツなどを使って練り固めたものです。
持ち運び、保存性にも便利な剤形で、昔は印籠のなかに入っていたりとか…。
更年期障害などに使われる【桂枝茯苓丸】のように最後に「丸」とつくものです。
よく練った薬という意味で「~丹」というのもあります。
当店の看板商品【反魂丹】がそうです。
散剤や丸薬を煎じて飲む場合もあります。
その場合は「~料」(りょう)と最後につきます。
例えば【桂枝茯苓丸「料」】や【五苓散「料」】などと呼ばれます。
おなじみ「エキス剤」。
現在皆さんに一番馴染みのある漢方薬の形かもしれません。
煎じた液体を乾燥させて粉末、顆粒、または錠剤にしたものです。
保管や持ち運びに便利ですよね。
インスタントコーヒーのようなものです。
対して「煎じ薬」は本格ドリップコーヒーに例えられます。
そのほかには「軟膏」(なんこう)も
生薬をゴマ油などで抽出した油脂類やワセリンなどの基剤に生薬末などを混ぜた外用薬がよくみられます。江戸時代の名医華岡青洲の創方した漢方の軟膏で”紫雲膏”などが有名でしょうか。
どの剤型がいいというわけではございませんが
やはり名前の現す通りの形でのむのがいいと考えられます。
さらに温かいものは温かいままに、香りのあるものは香りを感じつつ、味(苦味など)のあるものはその味を感じつつ飲んでいただきたいとおもいます。
とはいうものの、飲みやすく、続けやすいいかたちをお選びになってください。
お困りの方はご相談おまちしております。
漢方薬の飲み方についてはこちらを参考にしてみてください。
かしこ